迂闊に恋さえ出来やしない

いつだって明日を捨ててしまいたい

自称肌が弱いすっぴんオタク女子が化粧に目覚めた話

以前こんな記事を目にした。

2ndmap.hateblo.jp

これ、まんま私。それも数週間前までの私。

「化粧しないの?」と聞かれる度に「肌弱いんですよー」って返してた。

でも本当に肌が弱いんじゃなくて、化粧の仕方も知らない、買うお金もない、そんな事実から目を背けて逃げるために「肌が弱い」ってことにして、そもそも化粧しなきゃいけないのがおかしいって心の中で思っていた。このブログ主さんが指摘するとおりのオタク女子だった。

 

そんな私が化粧に目覚めた。

大学入学を控えたクリスマスシーズン。そろそろ化粧品を揃えなきゃいけないのかと思い、以前利用していたスキンケアメーカーのクリスマスコスメセット的な物を見かけた所、母に「あんたももういい年だし買ってみれば?」と言われじゃあそれなら……セールだしポイント溜まってるし……と一応注文してみたことがきっかけだった。

ファンデとアイシャドウ、チーク、口紅のセット。ポイント使って3500円とかそんなもん。それに下地とかビューラーとかもろもろ用意して初期投資の合計は5000円くらいで済んだ。意外だった。化粧品ってもっと高いものだと思っていた。あと見た目が可愛かった。かわいいは正義だった。

ついてきた紙に書いてある通りに塗ってみた。不器用だったから、アイラインはとりあえず引かなかった。

 

鏡を見たら、目がぱっちりして、赤みのある、きれいな肌の、自分がいた。

自分じゃないみたいだった。

幼稚園の頃からあったそばかすがなかった。

不健康そうな唇が、ほんのり赤かった。

なんだかわからないけれど、すごく嬉しかった。

その瞬間ふと、「自分も可愛くなっていいんだ」ってすとんと胸に落ちた。

そして気づいてしまった。自称「肌が弱い」の根底にあったものに。

 

幼い頃からずっと容姿をバカにされ続けていた。家族からも、友人からも。

そばかすだらけの顔が、大嫌いだった。3歳くらいにはもうあったし、成長しても消える気配はなかった。両親は私がお洒落すると途端に機嫌が悪くなった。「そんなことをしてもお前はブスだ」とよく言った。そこで綺麗になることを諦めた私を、可愛くなっていく友人たちが対等に扱ってくれるはずもなかった。自信も自己肯定感もあるように思っていたけど、実はなかった。たまに化粧品をちょっとだけ使ってみても、出来上がった自分を鏡で見て「化粧したってこの程度じゃん」って悲しくなってやめてた。なんならすっぴんのがまだマシな顔だと思ってた。自分オタクだし、可愛くなんかなれないんだって漠然と思ってた。雑誌やテレビにいるきれいでかわいい子とは生きてる世界が違うんだって思ってた。

 

それは呪いだった。私の足元に絡みつき、べったりとくっついていた呪い。可愛くなれない、なる価値もない、なろうとしてはいけない、そんな呪いに雁字搦めにされていたことに、ずっとずっと気づけなかった。私の世界には何かおかしなフィルターがかかったままだった。解き放たれて初めて、その存在に気がついた。

 

そして、呪いはこの瞬間に消え去った訳ではなく、少しづつ、少しづつ、知らぬ間に解かれていたのだ。

高校で出会った友人は、私の容姿をバカにしなかった。「肌弱いんだよね」と自分を守ろうとする私に「そのうちよくなるよ」「今度一緒に買い物行って使えそうなの見てみようよ」と優しく言ってくれた。本当は私の嘘に気がついていたのかもしれないけれど、それでも嬉しかった。

 Twitterを通じて知り合った素敵な人がたくさんいる。親しくなっていくうちに、もしこの人と本当に会うことがあるならば、もっと素敵な自分で会いたいと思うようになった。

呪いの渦中にいた頃にはわからなかったありがたみを、今噛み締めている。

 

 

これを読んでくれた方の中に、もし私のように思っていた人がいたら聞いてください。

 

この「美しくなれない」という呪いは、特にオタクに対して効果てきめんです。世には性別問わず、オタクの容姿を醜いもの、美しくないものとして叩く言説に溢れている。自分ではそう思わなくとも、知らず知らずのうちに、染まってしまっている。オタクだからブスなんじゃない。「ブス」という言葉に縛り付けられた人は、無意識のうちに美貌を要求されないオタク趣味を選ぶことが多いというだけだと思います。 

 

あなたは絶対かわいくなれます。かわいくなっていいんです。

あなたは絶対きれいになれます。きれいになっていいんです。

誰があなたをブスだなんだと罵ろうと、あなたはあなたを好きになっていいんです。

あなたがあなたを好きになれるように、あなたの好きな自分になっていいんです。

コスメも、メイクも、アクセも、ファッションも、ダイエットも、筋トレも、みんなみんなあなたの味方です。あなたが大好きな自分でいることを助けてくれる味方です。

 

確かに化粧は今の日本に置いて女性のマナーのような扱いだ。

めんどくさいしだるいし何やったらいいかわからんし押し付け腹立つし男はやんなくていいし…… その気持ち、すごくよくわかる。というより私も今だってそう思ってる。

でも、一回それを脇において、ドラッグストア行って、下地とファンデとシャドウとチークとリップとビューラー、あとクレンジング、好きなの買ってみよ。化粧品売り場怖いけど、規模の小さいドラッグストアなら割と耐えられると思う。私は以前池袋のハンズ行ってあまりの種類の多さにパニックになりかけました。

メーカーはキャンメイクちふれセザンヌがいいと思う。超プチプラなのにちゃんと化粧品感もあって「私お化粧してる!!!」ってなれるし、あと有名メーカーでいろんなところで手に入るから。百均はあまりおすすめしません。なぜならテンションが上がらない。あれもこれも100均だと思うとついつい雑に扱っちゃうし、うまくいかなかった時に道具のせいにしちゃう。人間そんなもんです。

んで家帰ってググりながら顔塗ってみよ。肌に自信のない人は下地→ファンデの段階でめっちゃ感動すると思う。いろいろうまくいかなくても、ちょっとでも楽しいなとか思えたら勝ち。大勝ち。呪いはもう解け始めてる。

 

私化粧覚えたてだし、全然うまくないし、周りから見たら化粧した不細工って思われてるかもしれない。でも、お化粧を知らなかった頃より、人生が楽しいです。

 

たくさんの人の呪いが解けることを願って。

再始動

はじめまして。あるいはお久しぶりです。

稲葉真澄と申します。

 

受験を機に一度ブログから離れておりましたが、無事一段落つきましたので戻ってきました。

 

また少しづつ、自分の考えたことを記録として残していけたらな、と思っています。

 

よろしくお願いいたします。

 

 

(追記) 以前執筆した記事の再掲載の予定は当面ありません。